シリアルコンソールを極めよう – Part4. ケーブル編

「シリアルコンソールを極めよう」4回目は、ケーブル編です。
シリアルケーブルの種類を理解した上で、自作LANケーブルの道具を使って実際にケーブルを作ってみたいと思います。

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シリーズ一覧

 シリアルコンソールを極めよう – Part1. 概要編
 シリアルコンソールを極めよう – Part2. USB変換ケーブル編
 シリアルコンソールを極めよう – Part3. 変換コネクタ編
シリアルコンソールを極めよう – Part4. ケーブル編
 シリアルコンソールを極めよう – Part5. ターミナル編
 シリアルコンソールを極めよう – Part6. コンソールサーバを自作しよう
 シリアルコンソールを極めよう – Part7. TeraTermマクロを使おう

Part4. ケーブル編

今回はケーブルのお話です。
前回でDSUB-9pinをRJ45に変換しましたが、今度はその他のケーブルや、ケーブルの中のを流れる信号を、ケーブルの工作を交えて紹介したいと思います。

ケーブルのコネクタ形状

コネクタ形状があります。
おさらいを含めて紹介してみましょう。

1. RJ-45

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LANケーブルと同じCisco社が定めている配列がメジャーです。
(第3回参照)

メリットは、ケーブルのコストが安い事と、ケーブルの作りやすさ、取り回しの良さです。カテゴリ5以上のLANケーブルを使う事が可能なのと、経験上9600bpsでは30m程度はUTP(シールドされていないLANケーブル)で伝送する事ができます。

写真はD-SUB 9pin – RJ45変換コネクタです。

2. D-SUB 9pin

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最近のPCやUSB-シリアル変換ケーブル、ネットワーク機器などで使われています。
メジャーな千石電商では、比較的安価にシリアルケーブルを購入することができます。

3. D-SUB 25pin

昔のPC-98等で使われていたシリアルポートの形状です。
最近はほとんど見なくなりましたが、アナログモデム等では今でも現役で使われています。
ケーブルそのものも、フル結線した場合芯数が増える為、太く扱いにくく、最近ではあまり使われません。

引用:D-sub ‐ 通信用語の基礎知識

ストレートケーブルとリバースケーブル

LANケーブルに「ストレート」と「クロス」があるように、シリアルケーブルにも「ストレート」「リバース」が存在します。
これらの違いは、ケーブルの中の結線の違いであり、外見ではわかりません

ストレートケーブル

パソコンと、モデム等の機器を接続する為のケーブルです。
厳密には、パソコン(DTE)と、モデム(DCE)を接続する為のケーブルです。

内部的には、全てのピンが同じピンに結線されている事から、ストレートケーブルと呼ばれます。

リバースケーブル(クロスケーブル)

パソコン同士を接続するケーブルです。
他にも、「ロールオーバーケーブル」とも呼びます。

パソコン(DTE)同士を接続する為のケーブルです。
内部的に、送信と受信が対(クロス)になるように結線がされており、このケーブルを使うことで、昔はファイルの転送などを行っていました。

RS-232Cの4つの信号線

さて、実際には、以下の信号線を使うことで、コンソールの通信が成り立っています。

GND(グランド)

GNDは、0V(所謂電池のマイナス極)で、お互いの信号を流す上での基準となります。
尚、

DTR/DSR, CTSは、いわゆるハードウェアフロー制御に使われ、大量の情報を送受信する際に文字化け等を解消する為の信号線です。
尚、ソフトウェアフロー制御の場合、後述するTxD/RxDにて行われます。

TxD/RxDは、実際のデータを流す為の信号線です。
「シリアル通信」と言われる所以は、信号線1本で直列に情報を転送する為です。

ロールオーバーケーブルを自作してみる

一般的な自作LANケーブルの部材を使って、コネクタの組み合わせで、変換ケーブルとして持ち歩いています。

必要な工具は、以下が必須です。

  • かしめ工具
  • ストリッパー
  • ニッパ

また、以下もあると良いでしょう。

  • スパイキ
  • ケーブルテスター

材料は、LANケーブル適量と、LANコネクタ数個になります。

LANケーブルはカテゴリ5以降であればどれでも構いませんが、入手性・作業の簡単さから、単線のカテゴリ5eをお勧めします。僕の場合は自作用ケーブルの余りがありましたが、市販のLANケーブルを切断して使用しても構いません。

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1.LANケーブルを作る要領で、通常のケーブルの一端を作ります。

まず、ストリッパーでケーブルの被覆を剥きます。

次に、スパイキを使い、ケーブルのヨリを戻します。

ケーブルの順番を整えます。
左から、

  1. 緑白
  2. 橙白
  3. 青白
  4. 茶白

となっております。

だいたい12mmくらい残して、ニッパでカットします。
ケーブルが飛び散るので、ゴミ袋を用意する事をお勧めします。


最後に、コネクタに挿入し、奥まで刺さっている事を確認して、かしめ工具でかしめます。


2.もう1端をかしめる。

もう1端をかしめますが、このケーブルはLANケーブルではなく、ロールオーバーケーブルでは、1?8ピンが逆順になります。
左から以下のように配線します。

  1. 茶白
  2. 青白
  3. 橙白
  4. 緑白
3.ケーブルテスターでテストする。

ここでは、一般のLANケーブル用の道通テスターを使用します。

上手く行くと、1→8、8→1と光ります。

  • 特定のピンが光らない
  • 光る順番がおかしい

この場合は、ケーブルの不良です。

前者では、もう一度かしめ工具で強くかしめてみて下さい。
(ピンが刺さりきっていない場合があります。)

後者では、結線を間違えているので、もう一度作り直します。

4.実際にPCでテストする

ロールオーバーケーブルをテストするには、USB-シリアル変換ケーブルを2本使い、1台のPCでターミナルを2枚開くと簡単です。

上記の画面のように、タイプしたウィンドウでは何も表示されず、接続先のターミナルで文字が表示されます。
これはターミナル及びシリアルケーブルの挙動として正しい挙動です。

ループバックアダプタを自作してみる

?さて、知識を深める為に、もう1つ『ループバックアダプタ』を作ってみましょう。
ループバックアダプタとは、送信したデータをそのまま元のポートに戻すアダプタです。

材料は先ほどのロールオーバーケーブルと同じです。

1.LANケーブルをほぐしきる

約15cm程度のLANケーブルをほどいて、ヨリを戻してください。
その中から、今回は青と橙を使用したいと思います。他は不要ですので捨てましょう。

2.工作する

それぞれ、以下のように工作します。

青:4・5ピン
橙:3・6ピン

厳密には青(GND)は要らないのですが、気持ち的に入れてあります。

さいごに、これをかしめましょう。

3.実際にPCでテストする

上記のように、前回作成した変換アダプタに装着します。

そして、ターミナルを開いてみましょう。

今度は、タイプした文字がそのまま表示されました。

これは、タイプした文字がTxDから送信され、オレンジのケーブルを通り、そのままRxDに戻ることで、ターミナルが文字を表示しています。

おわりに

前回にひきつづき、工作を伴う内容でしたが、いかがでしたでしょうか。

今回ご紹介・使用した部材は、LANケーブルの自作でもそのまま利用可能です。インフラを生業にされている方は、是非揃えられる事をお勧めします。

また、お気づきの方も居らっしゃるかも知れませんが、Ciscoのシリアルケーブルは左右対称に信号が配置されている為、とても理解・工作しやすく作られています。
この規格は、知る限り1994年(Cisco2500)にはありましたので、とてもよく考えられていると感心しています…。

次回は、TeraTermといったターミナルソフトの挙動や設定についてお話したいと思います。

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