インフラエンジニアの為のプレゼン術

ある日、あなたの保守するシステムで障害が発生しました。

レポートを作成すると同時に、その場で上司や他部署や顧客に説明しなければいけません…。

そんな時、あなたのプレゼン力が試されます。

今回は、インフラエンジニアの為のプレゼン力アップを目的に、エントリーを書いてみたいと思います。

プレゼン力=PowerPoint力じゃない

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よくプレゼンと聞くと、セミナーや営業などで、PowerPointを使った形式になります。

しかし、本来の意味では、以下のようになります。

①提示。説明。表現。

②自分の考えを他者が理解しやすいように,目に見える形で示すこと。また特に,広告代理店が依頼主に対して行う広告計画の提示や,説明活動をいう。プレゼン。

大辞林 第三版より

つまり、『相手に自分の言いたいことを解ってもらう事』がプレゼンの本質であって、PowerPointやWordは、一番最後で良いのです。

僕は、過去に4年間のPCスクールインストラクターと、6年間のクラウドコミュニティのプレゼンテーションを行ってきました。

それらの中で、すぐに役立つポイントを3つお伝えします。

  1. 全てのものを、日常生活で例えよ。
  2. 図解せよ、そしてポイントを何度も繰り返せ。
  3. 街中で一目惚れした人に説明しよう。

ケーススタディ

あまり…いや、とても考えたくないですが、「iDCのバックボーンルータが故障して、5秒も通信が止まってしまった」といった事があったとしましょう。

※ いや、あっては困るんですが、あるんですよね。

今回は、これをネタにお話をしたいとおもいます。

インフラエンジニア同士ならば、「了解、まさかVRRPが暴走したとか?それともブレードが死んだ?」と繋がると思います。

しかし、技術上がりではない普通の営業さんには、これでは話が通じないですよね。おそらく営業さんも、お客さんに右から左で伝える事しかできず、それ以上の説明が出来ない状態で客先に向かうことになり、とても不安でしょう。
(中には諦めの境地に居る営業さんも居るかもしれませんが…)

1. 全てのものを、日常生活で例えよ。

例える力は、とても大切です。

相手が理解しているものに合わせて例えてあげることで、詳細は伝わらなくても本質を伝える事ができます。

例えば、「バックボーンルータのシャーシ故障で、フェールオーバーに5秒程度の断が発生した。」

これでは「機械が壊れたんだー、へー。」で終わってしまいます。

そして、顧客・営業・上長と、この障害報告に求める事が異なります

エンジニアの立場としては、「いかにルータを最短の時間でメンテナンスするか」に掛かっていますが、立場を変えるとどうでしょう?

【顧客】「自社システムへの影響は?」「対応を任せておいて大丈夫なの?」

【営業】「対象となる顧客は?」「影響範囲は?」「レポートはいつ上がってくるの?」

【上長】「障害対応に必要なリソースは?」「他システムへの影響範囲は?」

すべてに答えきることはなかなか難しいかもしれませんが、それぞれの立場ごとに更にエスカレーションする先があります。これら、彼らが求める事に適切に答える事で、彼らが後に味方になってくれる事もあるでしょう。

それでは、こう伝えてはどうでしょうか。

「家のパソコンに例えた時、ネット回線が調子悪くなってWiMAXに繋ぎ変えるような事が、データセンタの中で発生して、自動で直ったけど最大5秒程度インターネットが止まった」

これなら、システムを理解していない顧客でも、状況を理解して貰えるのではないでしょうか。

図解せよ、そしてポイントを何度も繰り返せ。

簡単なトラブルならば、口頭でポイントを伝える事ができます。

しかし、トラブルが複雑化した時、話す側も要点を掴むことが出来なくなります

ここでは、A4のコピー用紙1枚と、3色ボールペンで、障害の解説をしてみたいとおもいます。

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まず、これがデータセンタ全体を簡略化した図です。

これにより、データセンタの概要をすぐに掴むことができます。

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さて、今回は上のルータがダウンしたとしましょう。(うぅ…おなかいたい…)

VRRPにより、VIP(バーチャルIP)が上のルータから下のルータにフェールオーバーするまで、5秒程度かかったとします。

(本当はかからないと思う、むしろかかったら困るのですが、そういう事にしてください。)

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さて、ここで残り2色の登場です。

青の線が通信が止まっている時のパケットの経路で、赤の線がフェールオーバー後の経路になります。

技術的には、上のルータのインターフェースがダウンした後、下のルータがピアのダウンを検知してインターフェースへVIPのフェールオーバーとARPテーブルが書き換えられ、それに伴い下位のルータの経路が変わります。

しかし、この説明を口頭でしても普通「?」となりますよね。聞き手は頭のなかに上の図を描く事ができないのです。

なので、即席で構わないので紙に図解が必要なのです。

こうする事により、顧客に障害報告をしてくれる営業さんや、責任者である上長にわかりやすく伝える事ができます。

また、1つの事を1回言っても、なかなか理解して貰えません。
何度も繰り返し説明し、相手からの質問に応えて、はじめて理解してもらう事ができます。

ですので、図を描きながら、要点を繰り返すことを併用することがあります。

パターンとして、僕は3段階に分けるようにしています。

1.要点レベル。

「機器の故障が起きて、通信が5秒間止まった。」

2.ちょっと詳細レベル

「3Fにあるバックボーンルータに障害が起きて、データセンタ全体の通信が5秒程度止まりました。通信は自動的に切り替わり、現在は復旧しています。」

3.詳細説明

ここで図を描いたり、例えを使うことで、相手が必要としているレベルの理解を得ることができます。

街中で一目惚れした人に説明しよう。

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街中で、カフェで、駅で、居酒屋で…ふと、「いいな」って想う人は居ませんか?

え?そんな人観てない?せっかくですから街中を見渡してみましょう。なかなか上も前も観えていないのが職業病ではありますが、気分かわりますよ。

その人の髪型は?服装は?持ち物は?雰囲気は?

想像しましょう。

そして、その人に自分の仕事や問題を説明しましょう。(もちろん脳内で。)

そう、脳内とはいえ、しどろもどろになって意外と話せない自分が居ます。

しかし、このトレーニングをすることで、現状説明等の際にやんわり応えることができ、自分にも余裕ができます。ぜひ試してみてください。

※5/13 19:15 表現的に問題がある部分があったので、修正・削除をしました。
内容の
核心部分についての修正はありません。申し訳ありませんでした。
※5/14 02:20 細部を修正しました。
内容についての修正はありません。

さいごに

先日の#qpstudyでもありましたが、今のインフラエンジニアはサーバやNW機器のメンテナンスだけでは仕事はなりたたず、付随する「説明義務」があります。

しかし、いざ自分の目線で説明すると、「解らない」と拒否されてしまう事は多々あるのではないでしょうか。

僕はインストラクターやプレゼンテータ・デモンストレータの他、社内SEの経験もあり、部長・社長レベルへの説明資料を、このナレッジを使って作っていました。ある時には、情シス部長と立ち話しながら絵を描いて、そのまま役員会議資料の原稿になった事もあります。

上長も顧客も、とても忙しくて、自分の説明を全部理解するのはとてもむずかしいことです。他部署(例えば営業)であっても、彼らのスケジュールやレベル感があり、なかなか技術の話に乗って貰えません。

なので、僕はいつもA5の紙ノートと3色ボールペンを持ち歩いています。このナレッジを、いつでも実践できるようにです。

最初に戻りますが、デザインに関して企業によってはWordやPowerPoint清書担当という人が居る事もあるでしょう。

その前に、まずは問題を解きほぐして説明するスキルを身につけてみてはいかがでしょうか。

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